
- どの会社も同じに見えてどこを選べばいいか迷ってしまう
- キャンペーンの時に口座開設してみた、不満はないけど満足もしていない
- 取引を始めてみたら手数料が思ったより高く感じる
証券会社の特徴を比較するにはたくさんのサイトを見る必要があり、キャンペーンに目移りもしてしまいます。しかし自分に合った会社を選択することは大事で、余計なストレスを減らしトレードを長く続ける助けになります。
この記事では①証券会社の特徴比較、②各トレードスタイルで重視すべき項目の2つに分けて説明します。現在使っている証券会社が自分に合っているか判断し、もっと有利にトレードできる環境がありそうか検討してみてください。

オススメはデイトレ=楽天証券とSBI証券。つみたてNISA=SBI証券。優待クロス=SMBC日興証券だよ。ファンダメンタル派は好きなところでOK。
証券会社の特徴比較
資産運用を始めるときに必要なものはトレードスタイルに合った証券会社。使いにくいからと他の会社に口座を移すと余計な手間がかかってしまいます。各証券会社のかんたんな比較表(2022年4月1日時点)を載せていますので、自分の重視する点があるか確認してしてみてください。芋トレは株式取引がメインのため、その関連データでまとめてあります。
手数料コースが選択できる場合は各社一番安いプランで比較しました。
SBI証券 | 楽天証券 | LINE証券 | SMBC日興証券 | |
口座開設料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
取扱商品 | iDeCo、NISA、国内株、 外国株(米/中/韓など8種)、 投資信託、債券、FX、 先物、オプション | iDeCo、NISA、国内株、 外国式(米/中など6種)、 投資信託、債券、FX、 先物、オプション | iDeCo、NISA、国内株、 投資信託、FX | iDeCo、NISA、国内株、 外国株(米/中)、 投資信託、債券 |
現物手数料 国内株取引額 100万円/日 | 0円 アクティブプラン | 0円 いちにち定額コース | 買いは99円〜1,070円 売りは99~869円 ※取引所取引の場合 | 定額プランなし、 売買毎に137~880円 |
夜間取引 | 16:30~23:59 | 17:00~23:59 | 17:00~21:00 ※グループA銘柄 | なし |
一般信用売建 貸株料(年率) | 長期1.1% 短期3.9%(15営業日) | 長期1.1% 短期3.9%(14日) | なし | 長期1.4% |
一般信用 銘柄/在庫数 | ||||
その他 メリット | ・クレカ積立でポイント ・ ポイントが選べる (T/Ponta/Dポイント) | ・楽天ポイントが貯まる ・楽天SPU対象あり | ・LINEアプリから 簡単登録 ・LINEポイントで入金可能 ・タイムセールで割引購入可能 | ・信用取引の手数料無料 ・一般信用の取扱いが多い ・優待クロス向き |
トレードスタイルによるオススメは次の通りです。
- デイトレードなら一定取引額まで手数料無料のSBI、楽天
- つみたてNISAならカード決済と投信保有にポイントがつくSBI
- 優待クロスなら一般在庫が豊富で信用手数料無料のSMBC日興
- 手数料ポイ活ならTポイントや楽天ポイントが貯まるSBI、楽天
- 決算情報が欲しいならAIによる「決算ビジュアルレポート」がアプリに通知されるLINE
また口座開設後の入金方法は各証券会社で独自サービスがあり、取扱い銀行数も異なるため注意ください。

入金サービスだけでは選ばないけど、ATM手数料が無料になるサービスは日常生活で便利だね
SBI証券 | 楽天証券 | LINE証券 | SMBC日興証券 | |
---|---|---|---|---|
独自サービス | SBIハイブリット預金 手数料無料 即時入金反映 住信SBIネット銀行 ※預金金利優遇 ※ATM無料プログラムあり | マネーブリッジらくらく入金 手数料無料 即時入金反映 楽天銀行 ※預金金利優遇 ※ATM無料プログラムあり | LINE Pay 手数料無料 即時入金反映 LINE PayのMoneyアカウント必要 ※LINEポイント利用可能 | バンク&トレード 手数料無料 即時入金反映 三井住友銀行 ※投信手数料優遇 |
即時入金 | 手数料無料 即時入金反映 対象13行 | 手数料無料 即時入金反映 対象13行 | 手数料無料 即時入金反映 対象7行 | 手数料無料 即時入金反映 対象5行 |
銀行窓口振込 | 手数料あり 入金確認後反映 | 手数料あり 入金確認後反映 | 手数料あり 入金確認後反映 | 手数料なし ※3,000円以上入金の場合 入金確認後反映 |
デイトレードなら手数料を重視(定額制や大口優遇制度)
1日で売買を完結させるリスク限定型のトレードスタイル
デイトレードは短期の価格変動による利益を積み重ねるトレード方法です。1日の間に買った株を売るか、売った株を買い戻してポジションを清算し翌日に持ちこしません。株式の長期保有によるリスクを回避し、市場が開いている時に使える優位性を用いてトレードを行います。
デイトレード向き証券会社2社
デイトレードは取引回数が多くなりやすいため、証券会社の選び方で大事なのは手数料の安さ。定額制がある証券会社の中でもオススメなのはSBI証券と楽天証券の2社です。両社とも1日の約定金額100万円までは手数料0円ですので資産運用開始時点では十分な金額です。それぞれの定額制の違いをまとめると表のようになります。
SBI証券 アクティブプラン | 楽天証券 いちにち定額コース | |
---|---|---|
約定金額 計算方法 | ・現物、制度信用、一般信用 の3つを別計算 ・約定金額=売りと買いの合計金額 | ・現物+制度信用+一般信用の合計金額 ・同一銘柄のデイトレでは 反対売買分を約定金額から除外(デイ割特典) |
手数料 | 約定金額 手数料(現物/信用) ~100万 0円/ 0円 ~200万 1,238円/ 880円 ~300万 1,691円/1,320円 以降+100万ごと +295円/ +440円 | 約定金額 手数料 ~100万 0円 ~200万 2,200円 ~300万 3,300円 以降+100万ごと +1,100円 ※信用手数料も現物と同額 |
表だけでは分かりにくいため取引手数料別にグラフにしてみました。①現物取引のみと②現物+信用取引による手数料の違いをグラフにしています。楽天はデイ割特典により返済分の取引額が除外されるため、購入金額が100万円以下なら手数料がかからないのは計算しやすいですね。(※楽天で信用売りから始めた場合は決済買いの方が約定金額から除かれます)



SBI(資金50万円まで)と楽天(資金100万円まで)の両方で取引すると、手数料がかからずコスパがいいね。資金が増えたら定額制の他の会社にするか、SBIで信用取引を始めるとさらに手数料が抑えやすいよ。
手数料が高いと利益が低下
手数料は取引ごとにかかるため利益圧迫の要因になり、取引回数の多いデイトレへの影響は大。高い手数料による悪影響をイメージしてもらうため簡単な計算をしてみました。
下のグラフはスタート金額50万円で1年間取引した時に手数料が収益に与える影響を示したものです。ランダムに-2.0%から+2.2%の損益が毎日発生し、それを複利で繰り返すという想定で作成しました。グラフ中の色分けは赤線が手数料0円、青線が手数料1,100円でそれぞれを10回計算しています。1年後にスタート時より増えているのは手数料なしの赤線が9回、手数料ありの青線が1回のみでした。


優位性のあるトレードルールは必要だけど、必ず発生する手数料などのトレードコストをいかに抑えるかも重要な要素になるね。
つみたてNISAならポイント還元を重視
コツコツ型の長期積立トレードスタイル
つみたてNISAは少額からの積立で長期間の分散投資を特徴としています。購入方法や投資商品が表のように限定されることが一般NISAやジュニアNISAとの違いです。購入から20年間は利益・分配金が非課税になることから、長期間では右肩上がりになると自分が信じる資産に継続して資金を投入するタイプのトレードです。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 | 0~19歳 |
非課税期間 (配当/譲渡益) | 最長5年 途中売却OK | 最長20年 途中売却OK | 最長5年 途中売却OK |
年間利用限度額 | 120万円 (5年間の合計600万円) | 40万円 (20年間の合計800万円) | 80万円 (5年間の合計400万円) |
1回の売買で限度額まで 購入できるか? | OK | NG 毎月100~33,333円の積立 ※上限内の増額設定可能 | OK |
購入できる商品 | 国内・外国株式、 ETF、投資信託 | ETF、投資信託 (金融庁認可の213本) | 国内・外国株式、 ETF、投資信託 |
確定申告 | 不要 | 不要 | 不要 |

NISA=Nippon Individual Savings Account、日本版の個人貯蓄口座の略称だよ。

NISAの併用はNG、選べる制度は1人1つだから注意してね。
つみたてNISA向き証券会社2社
証券会社の選び方は口座開設キャンペーンとポイント還元の2点。ただし口座開設によるキャッシュバックは1,000円程度と少額なため、ポイント還元率で証券会社を比較することが大切です。ポイント還元は2種類あり①投資信託の購入時、②毎月の保有時にそれぞれもらうことができます。
まず投資信託購入によるポイント還元のオススメはSBIとauカブコムの2社、特徴は表を確認ください。auカブコムで還元率を5%に上げるにはau回線契約が必要なため、現在使っていなければ無理をしないでください。また2社ともクレジットカードが限定されている点にも注意しましょう。
※以前は楽天証券のポイント還元も有利でしたが2022年4月以降の見直しで、1.0%還元には高い手数料の投信購入が必要になりました。
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
つみたてNISAで 利用可能か | OK ※ジュニアNISAは対象外 | OK ※ジュニアNISAは対象外 |
つみたてNISA 取扱商品数 | 179本 | 171本 |
投信積立による ポイント還元率 | Vポイント0.5%〜2.0% ※カードランクにより異なる | Pontaポイント1.0%〜5.0% ※積立開始から1年間限定 |
対象カード | 三井住友カード | au PAYカード |
積立上限金額 | 毎月33,333円まで (年間上限40万円) | 毎月33,333円まで (年間上限40万円) |
投信購入日 | 毎月1日 | 毎月1日 |
注意点 | ー | 還元率アップにはau回線か UQ mobileの契約が必要 |

つみたてNISAは20年間で最大800万円分購入できるから、ポイント還元があるのは嬉しいね
続いて投資信託保有時のポイント還元です。こちらは多くの会社が対応していますが、パッシブファンドはSBI、アクティブファンドはSBIとauカブコムがおすすめ。
信託保有時のポイントは自分が支払う信託報酬(毎月の手数料)に比例して増減することが多いです。アクティブファンドはパッシブファンドより信託報酬が高いため、もらえるポイントも多くなりますが支払う手数料も増えます。そのため信託保有のポイント還元がいい証券会社を選んでつみたてNISAを始めることで、実質の手数料を減らすことが可能になります。
各社のポイント還元の詳細を表にしました。
SBI証券 投信マイレージ | auカブコム証券 資産形成プログラム | 松井証券 現金還元サービス | 楽天証券 資産形成ポイント | |
ポイント 種類 | Tポイント Pontaポイント dポイント | Pontaポイント | 現金 or 松井証券ポイント | 楽天ポイント or 楽天証券ポイント |
ポイント 還元率 | <指定銘柄> 0.022%/年~0.05%/年 <通常銘柄> 投信保有額で変動 999万以下=0.1%/年 1,000万以上=0.2%/年 | <指定銘柄> 0.005%/年 <通常銘柄> 投信保有額で変動 2.4-100万=0.05%/年 100-3,000万=0.12%/年 3,000万以上=0.24%/年 | (松井証券の受け取る 信託報酬率-0.3%)/年(税抜)※ポイントの場合は10%増加 対象一覧はこちら | 投信の保有残高が規定に達した時 10万円=10P 30万円=30P 50万円=50P 100/200/300/400/500万円=各100P 1,000/1,500/2,000万円=各500P |
還元の タイミング | 翌月15日 | 毎月末頃 | 翌月15日 | 残高判定月の翌々月始め |
還元条件 | ポイントサービスに 登録必要 | ・au ID登録が必要 ・投信の月間平均 保有額24,000円以上 | なし | ・ハッピープログラム対象者は 楽天ポイントで還元 ・月末の保有額で判定 |
注意点 | ・対象外投信あり ・インターネットコース の選択が必要 | ・信託報酬0.3%以下 の投信は対象外 ・初期設定はポイントのため 現金還元は申請が必要 | 対象外投信あり |
こちらのグラフでは投信保有でもらえるポイントと、支払う信託報酬の差を並べています。パッシブファンドは「楽天・全米株式インデックス」、アクティブファンドは「ひふみプラス」です。


相場が下がっている時も信託報酬は払うから、自分がつみたてNISAで20年近く持ち続けられるコストか?も考えて選びたいね。
優待クロスなら一般在庫の豊富さと貸株料を重視
「優待利回りー取得コスト=お得」なトレードスタイル
優待クロスは株価の変動による利益を狙わず、株主優待をお得にゲットするトレードスタイル。株式銘柄の中には権利落ち日に保有していれば数か月後に優待がもらえる会社が1,000銘柄以上あります。優待品価値>取得コスト(手数料+信用金利)となるように取引して配当のようにインカムゲインを獲得します。

どうやって株価変動の影響を受けないようにするの?

信用取引の空売りを使って、買いと売りの両建てをするんだよ。
通常のトレードであれば利益が出るように「売った値段>買った値段+手数料」となることを狙います。これに対して優待クロスでは売り買いを同時に行うことで「売った値段=買った値段」にして、株価が変動しても損益が発生しないようにします。持っていない株式を売るには信用取引口座が必要ですので、証券会社に事前申請しておきましょう。

信用取引の手数料は売買時と借りている期間に払う金利の合計になります。信用売りの金利は保有しているとかかる貸株料と、皆が借りて在庫が品薄になった時にかかる逆日歩(品貸料)の2種類。また信用取引の種類も制度信用と一般信用の2種類があり、違いは表のようになります。
制度信用は金利が安く在庫の心配もほとんどないですが、逆日歩という追加金利が発生する可能性があります。それに対して一般信用は金利は高く在庫切れになりやすいですが逆日歩の心配がありません。優待クロスでは取得コストが変動しない一般信用を使う方が計算がしやすく有利になりやすいです。
制度信用 | 一般信用 | |
---|---|---|
対象銘柄 | 取引所が選んだ銘柄 | 原則全上場銘柄 |
返済期限 | 最長6ヶ月 | 証券会社で異なる (無期限の会社もあり) |
在庫 | 一般信用より多いが 足りなくなると逆日歩発生 | 証券会社で異なる |
貸株料 | 1.0%〜2.0% 証券会社で異なる | 1.1%〜3.9% 証券会社で異なる |
逆日歩(品貸料) | あり、取引所が発表 | ほとんどの会社はなし |

逆日歩の怖さはこちら、制度信用を使う時は注意しようね。
優待クロス向き証券会社
証券会社の選び方は「優待利回りー取得コスト=お得」の考え方に基づき、一般信用在庫の豊富さと信用売りの手数料の2点を重視。理由は一般信用在庫がないとそもそも逆日歩リスクなしの売りポジションが取れなく、また取得コストが高いと優待をもらってもお得感がないためです。この点を考慮するとオススメの証券会社はSMBC日興証券。
SMBC日興証券 | 楽天証券 | SBI証券 | LINE証券 | |
取引コース | ダイレクトコース イージートレード | 超割 | スタンダード | 一般信用クロスが できない |
購入手数料 | 現物取引137円〜 信用取引0円 | 現物取引55円〜 信用取引99円〜 | 現物取引55円〜 信用取引90円〜 | ー |
現引、現渡手数料 | 0円 | 0円 | 0円 | ー |
事務管理手数料 | 0円 | 1株あたり11銭 約定1ヶ月経過ごと | 1株あたり10銭 約定1ヶ月経過ごと | ー |
貸株料(年利) 一般信用売り | 長期 1.4% | 長期 1.1% 短期 3.9% | 長期 1.1% 短期 3.9% | ー |
SMBCは貸株料はやや高いものの、信用取引の手数料無料が魅力です。優待クロスでは1ヶ月前ぐらいにポジションを作ることが多いと思いますが、30日分の貸株料1.4%と1.1%による差額は約20円(10万円分の株の場合)。さらに権利落日が近づき楽天とSBIが短期信用に切り替わると貸株料でもSMBCがお得になります。
この辺りの計算をしたいという方や、優待在庫状況を見たい方にはGokigen Life .TOKYOさんが便利です。またApp Storeで同じ作者さんのGL優待クロスというアプリもあります。
まとめ
この記事ではトレードスタイルに合わせた証券会社の選び方を説明しました。口座開設キャンペーンはたくさんあるため迷ってしまうと思いますが、自分に合った証券会社を選択してください。それは余計なストレスを減らしトレードを長く続ける助けになります。
- デイトレードはSBIか楽天証券、約定金額100万円まで手数料無料で使えるのでトレード初期には十分な金額。
- つみたてNISAならSBI証券、投信マイレージでもらえる毎月のポイントが他社よりお得(投信移管をするとNISAの非課税制度が使えなくなるのて注意)。
- 優待クロスならSMBC日興證券、信用取引を使った手数料0円と優待在庫の豊富さが利点。